(´・ω・`)そんなの人の勝手


 

弱いSEの増田が書いた「客先常駐」の話を、強いSEが「嘘だ」と言っちゃうこんな世の中じゃ。
IT業界は日本社会の縮図となっているんだよ

僕はもともとSEみたいなことをやってた(電気→車載)ので、弱いSEの話が人ごとと思えなかった記事。
みたいってのは…組み込みってSEって言うのかな。聞いたことないので。

そう言う話は過去に書いているので読んでもらうとして。

ソフト屋って年がら年中未経験歓迎って言って募集してるよね
なんとなくソフト業界について話をする
うらやまれるということ

うわ3つもあるめんどくせー、と思ったら最後のだけは読んでほしい。


■弱いSE
僕は大学で応用化学を専攻していた。その道を早々に諦め、学卒でこの業界に入っている。そんなことをしたのは、同期の中では僕だけだった。
公務員になろうとしてたやつもいるにはいたが、落ちてたな。応用化学は院まで行ってなんぼなので、学卒で出たのは60人ばかりいる同期のうち、2人だったと思う。

そうした理由は単に向いていなかったからだ。有機化学系の実験は「まず1週間混ぜます」みたいな手順が平然と出てくるんだが、僕は待つのが嫌いな上、変なところで凡ミスをするタイプなので、そうした作業に致命的に向いていなかった。

その点、プログラムは良かった。ミスをしてもだいたい取り返せるし、作ればすぐ動かせる。
きっかけは分子モデルの授業だった。初めてプログラムを書いたのはフォートランという言語を使って分子モデルを作成したときで、そのまま進路を変えた。



そういう奴が入社して与えられる仕事といえばそれはやっぱり「弱いSE」的な仕事で。最初のうちはプログラムをほとんど書かせてもらえなかったので、仕方なく家で勉強していた。弊社やスイスドローツールを作ったのがこの時期に当たる。「自分のレベルアップのため」と「友人たちの手助け」が合わさった結果だ。
方向性は今も変わっていない。文章を書くのも何もかも、同じ理由でやっている。
(アクセスに興味がない、みたいな話がちょいちょい出てくるのもそのせい)

この時点で、僕は会社に長居しようとは思っていなかった。金を稼ごうとすると発注する側に回る必要があるからだ。
そのために選んだ現場が、車載だった。



■車載
いわゆる組み込みエンジニアは大別して家電と車載に分かれるんじゃないかとおもう。僕が組み込みを選んだのは手っ取り早く金になるからで、車載を選んだのは地元にそういう企業が多いからだった。
ここの話が上の記事の「 うらやまれるということ」に該当する。

まあなんというか…前の現場とは打って変わってすごいところだった。車系列は多分どこでもそう変わらんと思うんだが、色々厳しいんだよな。まあ金もらってやってんだから厳しいのは当たり前だけど。いわゆる楽な仕事ではない。

厳しかったのは請負の僕たちだけではない。僕たちに仕事を発注している担当プロパーも生きてるんだか死んでるんだかよくわからない生活を送っていた。

土曜日は朝6時に出社してちょっと仕事して朝10時ごろには家にいて子供の相手をするとか。
組合が定めた残業上限を超えても仕事が終わらないので、タイムカードを打刻しなくても入れる入り口を探すとか。
残業上限を超えられないので、月末の金曜日に休んで、月が変わった土曜、日曜と出社するとか。

一番記憶に残っているのは、机だ。
僕たちは客先常駐で開発を請け負っていたので、当然客先の机で作業する。が、他所の会社もだいたい常駐なので、机が足りなくなってくるわけだ。席替えするたびにスペースが狭くなるんだよな。
流石に一言ぐらい文句言ってやろうかと思ってプロパーエリア(下請法の絡みでフロアが違う)まで行って見たら、プロパーの机の方が狭かった。この時ばかりは流石に笑っちまった。
(あのトイレで首吊ったやつ居るんだぜとか、いろんな話があったな…)

プロパーなら40歳の主任クラスで年収1000万ぐらい行くはずなので、そんだけもらってりゃいいのかもしれない。
ただ僕がその生活に耐えられるかというとかなり怪しかったので、そこそこ金がもらえてそこそこ働く職場を探そうと心に決めた。
んで無事転職するわけだが、そんときに一言言われたつーのが「 うらやまれるということ」の話になる。



■強いSE
最初の記事で指摘されて居るような「強い」存在になるために最も必要なのは、運だと思う。
だがそれはそれとして、「弱いSEに甘んじるのは弱いから悪い」という意見は僕も理解できる。 

結局、弱いSEが駆逐されたとして。そういう存在が制度上駆逐され、欧米のように優秀な人間だけが残ったとして。
それで弱いSEが救われるかといえば、そんなことはない。



転職前の現場で一番印象に残っているのは、他社の新人の話だ。
年度替わりの決起会で顔を合わせた彼は、入ってきたばかりの文系学卒だった。銀行を志望していたが受からず、落ちてこの業界に入ったという。
だが半年後、現場に彼の姿はなかった。

それとなくその会社の人間に聞いたら、彼は本社に強制送還されたという。仕事中に突然キレ始め、椅子を机に叩きつけて強制退場となったらしい。
そうか、と思った。疑いはしなかった。その程度にはストレスの溜まる仕事だった。

彼だけじゃない。自分の会社にも辞めた人間がいた。決してキレたわけではない。ただ「自分には向いていなかった」とだけ言って、静かに辞めた。
30過ぎの女性だった。彼女は今、どうしているだろうか。

客先常駐だと、あまり会社には帰らない。だから、違う現場の人間と親しくなるのは珍しい。 
彼女は今、どうしているだろうか。


 
弱いSEという存在が消えたからと言って、彼ら彼女らが救われるわけじゃない。

能力もなく、良い環境、良い給料をもらうというのは望めまい。ソフトウェア開発は高給を取るべき職業だが、能無し学なしが入れる世界では本来ない。」

上の記事からの引用だ。他の世界でもそうだろう。誰しもどこかで強さを求められる。



去年の9月ごろだ。大学の1つ上の先輩が鬱になった。 
彼は応用情報専攻で、そのまま組み込みエンジニアになっていた。サークルの先輩にあたる人だ。僕より真っ当な進路をとっているといえる。
その彼が、鬱になった。

本人に聞いても理由はわからないという。結局そのまま治らず、退職。
公務員試験も受けたが、全滅。ついこの間、ゴミ焼却場のアルバイトに受かったそうだ。本人が嬉しそうだったので、僕も嬉しかった。



僕がいくら考えたところで、彼ら彼女らが助かるわけじゃない。けれど、弱いSEに触れる記事を見るたび、僕は彼ら彼女らのことを思い出さずにはいられない。



一体、どうすりゃ良かったんだ?
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