(´・ω・`)この手の議論って全然ないからね、例によって弊社で先行して出して行く





■前提
弊社の技術Gとかわかってそうな人と僕の間でちょいちょい話題に上がってた話を突き詰めた結果どうなったか、というアレ。
なんだかんだ3年ぐらいあーでもないこーでもないとか言ってやり合って来たので、既存のものよりはいい感じの思想になっているはず。


■カバレージの定義
話を明確にするため、カバレージという単語の意味を定義する。
今回は、カバレージを「小さな物語」として定義する。
これに対し、DM史のようなコンテンツを「大きな物語」として定義する。

小さな、あるいは大きなという言葉の意味するところは、時間軸の長短である。小さな物語というのは15分〜1時間程度の短い対戦を物語化したものを指す。つまりカバレージだ。
大きな物語というのは、半年とか1年とかそう言ったスパンで描かれる、競技DMというコンテンツに通底する事実関係を物語化したものを指す。つまりDM史だ。

ここでいう「物語化」とは、事実関係の一部を取り足して編集を加え書き下すことである。起こったことになんの編集も加えずだらだら書いて行くのは棋譜とかログであって、物語ではない。


■小さな物語の存在位置
小さな物語は、大きな物語に内包されて存在する。従って、大きな物語を理解していない限り、小さな物語を理解することはできない。

このことが分かると、カバレージを書きたいという理由でカバレージを書くという行為がやや的外れであることがわかる。大きな物語を理解することなしに小さな物語を書くことはできない。
小さな物語は大きな物語のごく一部を拡大したものに過ぎないからだ。全体を知らずして一部だけをみては、その本質を見出すことはできない。


■大きな物語を理解する方法
2つある。

1.大きな物語の主役になる
2.大きな物語を管理する

1はすぐ理解できるはずだ。選手として実績を上げることである。このポジションの人間が大きな物語を理解する方法は、自分自身で物語を経験することだ。
有名な選手は、自分自身に起こったことをよく理解していれば、小さな物語を書くというステップへ容易に進めるはずだ。MtGのカバレージライターはPT経験者が多いと聞いたことがあるが、道理だろう。
(物語を書くステップへ進むためには文章表現の技術が必要になるが、ややこしさを避けるためにここでは省く)

2は多岐にわたる。イベントの主催や競技チームのリーダー、ランキングの管理者などが当てはまると俺は考えている。
このポジションの人間が大きな物語を理解する方法は、自分自身で物語を作り出すことである。
例えばそれはイベントの開催だ。

大きなイベントや特別なイベントは、それ自体が物語を作り出す舞台装置である。その舞台装置で行う企画を管理する存在がイベント主催者であるわけで、企画をコントロールできるならば物語のコントロールもある程度可能だということは容易に理解できるだろう。
(この例は、ランキングの管理者やチームのリーダーなどコンテンツを送り出す側全体へ同様に当てはまる)


■読み手への伝達
さて、1あるいは2の経験を経て、物語に対する理解をあなたが得たとしよう。そうだとしても、カバレージを書くためにはまだ難題が残っている。
即ち、読者への情報伝達でもある。

仮にあなたが大きな物語を理解していて、そしてその上で小さな物語を書いたとしよう。けれど、読者が大きな物語を知っていなければあなたの文章は理解されない。
この状況は往々にして、「知らない人が対戦しているカバレージは読む気にならない」というセリフで表される。

そうした状況を解決するためには、読者に対してあらかじめ大きな物語を提供しなければならない。本来これはカバレージの外側、いわゆる外部メディアによって行われるべきだが、今のところはそれがほとんど存在しないために「知らない人が対戦しているカバレージ」が量産されてしまうのである。


■カバレージを書くためには
ここまで理解できると、ようやく冒頭の「カバレージを書きたいという理由でカバレージを書くという行為がやや的外れであることがわかる」という文章へ立ち戻る。

大きな物語を読み手と書き手が共有していない限り、小さな物語の伝達は成功しないのだ。そして現状、大きな物語を伝えるための装置はほとんどない。
(一応、弊社があるのでほとんどということにしておく)

カバレージを書くために必要なのは「大きな物語の理解」であり、「大きな物語の伝達」なのだ。より具体的に書けば、カバレージを書く手順は以下のようになるはずである。

1.選手/イベント主催者/チームのリーダー/ランキング管理者などとして活動し、大きな実績をあげる。
2.自分の理解した内容を物語として書き下し、読み手と共有する。
3.小さな物語=カバレージを書く



表現技術や感性、大きな実績ってなんだよ、そういう話もあるがまた今度。

個人的には、ライター以外の分野で有名になったかつそこそこ書ける人間を引っ張ってくるのが一番楽じゃないかと思う。文章技術だけでは絶対に書けないものがあるからね。
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