(´・ω・`)




 

■あらすじ
うっかり「裏世界」に入り込んでしまい、くねくねに襲撃された紙越空魚は、仁科鳥子に救われる。
とある人物を探しているという鳥子と組み、空魚は裏世界の探索を進めることになる。


■ネットロア
「くねくね」つー単語からわかると思うんですが、この作品はネット上でよく知られた実話怪談をベースにしています。
くねくねだけでなく、きさらぎ駅や猿夢、リゾートバイトなど、この手の話が好きな人間ならタイトルを聞いただけで中身が分かるようなネタが盛り沢山。

俺はこの手の実話怪談が大好きで、スゲェ読んでたんですよ。

死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?『神様になる為に修行を控えてた蛇を殺した先輩の末路』

この手のやつ。
更にネットだけじゃ飽き足らず、「山怪 山人が語る不思議な話」とか「新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺 柳田国男コレクション」とか買っちゃってね。

それで本作も買ったわけです。


■怪異への姿勢
この手の作品は大体2パターンあるじゃないですか。つまり、「怪異はこういう理屈で発生してるんだよ!!!!」つって解決するパターンと、「なんかようわからんけどとにかくこういう奴がおるんやな」で流すパターン。

俺は後者の方が好き。墓場鬼太郎とか、世界最後の日とか、大体こんな感じですよね。
やはり特にね、墓場鬼太郎とかゲッターみたいな、もはやラベリングすら放棄しとにかくそういうもんなんすよで押し切る姿勢が良いんですよ。

例えばこれ。

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これは墓場の鬼太郎の6巻、「アホなおとこ」に登場する地獄の描写です。

抽象的なコメントで乗り切る目玉のおやじ。「機関車のような植物だ」と返す男も大概ですが。
やっぱりこういう描写があると、いろいろ想像できて良いなーと思うんですけどどうでしょ。名前をつけてラベリングするのではなく、そのものに対する描写から想像させるわけです。

んでは翻って本作ではどうなのよ、というと、個人的には割と高評価。何かが起こるには起こるんですけど、解決はしないんですよ。きさらぎ駅やくねくねの正体がわかるわけじゃない。ただそれを乗り切って終わる。

ただ欲を言えば、作中で原典の引用を入れないほうが良かったなーとは思います。主人公は実話怪談が好きでいろいろ調べてる…みたいな設定なので、作中に「これはきさらぎ駅」「あれはくねくね」と固有名詞が出てきちゃうんですけれど、それはなくても良かったんと違うかな。
まーでもこれは俺が原典を知っているからそう思うのであって、よく知らない人にとっては固有名詞出したほうが良いのかもしれません。

どうなんだろうねー。たとえば駅の話で言うと、流行り神の「名前のない駅」なんか好きなんだけど、あんな感じの描写じゃあかなんだのかな。
この手の「何が起こってるんだかようわからん」系の話って、とにかく固有名詞を入れないことが重要だと思うんですよね。思うんですけど。ダメかなぁ。



んまぁ僕は好きなので、買っても損はないと思います。
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