(´・ω・`)タイトルは「悪だと思われていなかった」と言う意味で、法的な位置づけは今も昔も一緒です…あと記憶も結構怪しいのでツッコミ待ってるぞ




■フラゲと言う行為
フラゲとは、正式発売前の物を手に入れることを指す。TCGで言えば、発売前の雑誌やパックを購入することを指すだろう。

フラゲの規制度合いは、業界による。音楽CDなどは規制が緩く、発売日前日ともなれば当たり前のように店頭に並ぶこともある。これは、納入されたタイミングでの販売をメーカが認めているからだ。

他方でゲーム業界はフラゲに厳しい。海外では、誤ってポケモンXYを店頭フライング販売した店が問題になった。店だけでなく、購入者にも2000ドルの罰金が科されるという。
TCG業界もそうであることは、読者諸兄もご存知だろう。
パックに関していえば、厳しく規制される理由は正当な競争を行わせるためだ。

パックの掛け率(仕入れ値)はメーカによるが、概ね8割前後。更に仕入れ先が一次問屋か二次問屋か…などの要因で仕入れ値は変動する。問屋に近い店は、値引きも大きくできる。
そうなると、問屋に近くない個人店は厳しい。ただでさえ不良在庫になりやすいパックだ。こっそりと発売日前に店に出すことで売れるなら、売ってしまえ。と言う気持ちが芽生える。もちろんユーザは、早く買えるなら早く買いたい。

かくしてフラゲが成立するわけだが、メーカとしてはこんな競争をしてほしくない。というわけで、フラゲを規制するようになる。

ちなみにCDは再販制度の対象なので、こうした価格的な要因は働きにくいようだ。
それが規制の緩さにつながっているのかというと、同じく再販制度の対象である書籍は早売りがばれると問屋からペナがあるので、一概にそうとも言えない。


■古代のフラゲ
俺がDMを始めたのはDM-8のころだが、ネットに触れ始めたのは不死鳥編の頃だ。
当時、フラゲ情報の中心は2chのDM本スレで、そこにはコロコロフラゲによって新弾情報をアップロードしていたコテハンであり、かつてハドソンでポケモンカードGBの開発に携わったつる神がいた。

当時のフラゲ情報はまずつる神の手によって2chにテキストベースでアップされ、その後に彼女の個人サイトである帝国大劇場別館へまとめられていた。
どのタイミングかは忘れたが、いつごろからか彼女の友人のまとめブログである西日暮里駅東口にまとめ先が変わったと記憶している。

まず理解してほしいのは、当時の我々にとってコロコロをフラゲする行為は当たり前だったということだ。これが悪いなんて誰も思っていなかったし、そういうことを言い出す人間もいなかった。
今から振り返ると信じられないかもしれないが、そういう時期もあったのだ。

ちなみにコロコロフラゲ師はゲームごとに存在し、ポケカ本スレでは既に新弾のバレが来ているのにDM本スレはまだ、あるいはその逆の状況もあった。
ゲーム間での情報のやり取りはなかった。自分のゲームのフラゲ師が来るまで、自分のゲームの情報はわからない。
フラゲする側も、自己顕示欲などで動いていたわけではなかったのだろう。あくまで自分の好きなゲームの最新情報を他人と共有したかった。それだけのことだったのだと思う。

そんな緩やかな情報共有がしばらく続いたが、裏ではフラゲに対する風当りが強くなりつつあった。


■ブシロードの創業
ブロッコリーの木谷高明元会長が創業した会社、ブシロード。2007年の創業時からTCGを主力商品としたこの会社は、「ショップ/大会はインフラの一種」と考えていた。
その理念ゆえに当初はコンビニ流通へ商品を流さず(VG発売以降はコンビニ流通にも乗っている)、ショップを大事にする姿勢を明確に示してきた。

そんなブシロードが、フラゲを看過するはずもなく。

発売日どころか発売開始時刻の指定、商品発送用段ボールへのフラゲ禁止の記載、またVG発売以降はフラゲ防止のために社員がショップを見回るなどの施策を行ってきたブシロード。
創業当時の段階では今ほど締め付けは厳しくなかったものの、着実にフラゲが許されていた時代は終わりに差し掛かっていた。

そして、デュエルマスターズでも事件が起こる。


■情報は誰のものなのか
2009年9月26日に発売された、DM-33 「神化編 第2弾 太陽の龍王」。このパックは1週間前から映画館で先行発売されていた。
当然、1週間前の時点で有志によってカードリストが製作されることとなる。

この時本スレにリストを上げていたのもやはりつる神で、そのリストは西日暮里にまとめられた。いつも通りの作業のはずだったが、同じくDMのまとめサイトである田園補完計画が2chに上がっていたつる神のリストを転載したことで衝突が起こった。

つる神の側から見れば、西日暮里に載せる過程で本スレに上げただけのこと。決して知り合いでも何でもない人間のアクセス稼ぎのために、現地で携帯から苦労してカードテキストを手打ちしたわけではない。

他方、田園から見れば2chの情報をまとめただけのこと。
2012年7月のまとめサイト向け勧告以降のまとめサイトしか知らない人間には信じがたいかもしれないが、2009年時点での2chまとめサイトはほぼ無法地帯だった。

VIPないしニュー速系のまとめサイトこそオワタアンテナを中心として数多く存在し一定の内部ルールもあったものの、TCG系の2chアフィまとめは2011年11月にくず鉄速報が出現するまで事実上存在していなかった。当然、ルールも何もない。

そんな中で、2chにリストが転がっていればひとまずまとめておくというのは決して理解できない行動ではない。ある種の交通事故だったと思う。
結局田園側が謝罪して引きさがり、事態は一応の解決を見たものの。我々読者はフラゲ情報に対して何ともよくわからない気持ちを抱えたままだった。

この後しばらく、田園は店舗向けメーカFAXのスキャン画像をサイトに貼るなど先鋭化していく。


■Vジャンプの意思
そんな騒動からちょうど1年後、決定的な出来事が起こる。

遊戯王、2010年9月改訂。ブラックホールが帰ってきたことで有名なこの改訂はギリギリまでリストが判明せず、一部では「キラー・スネークが帰ってくる」「TPがキラスネを大量購入している」との風説が流布され、実際に1000円程度でキラスネを購入するプレイヤーもいたという。
(※もちろん、キラスネは戻ってこなかった)

通常であれば、店が早売りしていなくてもVジャンプの年間購読組が情報をリークしていた制限改定。遅れたのは、改訂リストが袋とじになっていたからだ。袋とじの表面にはご丁寧に「ネットへのアップを禁止する」旨まで書いてあった。

この出来事は衝撃を持って迎えられた。KONAMIのような大手メーカはフラゲに対して無頓着であることが多かったためだ。
バンダイなんかは特にひどく、BSでは発売の5日前に物が届くような状況もあったという。ポケモンカードでも、発売の1週間前にはヤフオクに全カードが出品されていた。

背景には、1年前の2009年9月改訂を公式の人間であるジャンボ牛尾がリークしたと言われている事件があったのかもしれない。
それまでフラゲやネットへのアップロードに対して何もコメントのなかった遊戯王でこんな事態が起こったということで、ようやくこのタイミングでフラゲが悪という認識が共有された。そういう意味で、象徴的な出来事と言えるだろう。


■その後のフラゲ
しかし、この後も深刻な情報漏れが止むことはなかった。

遊戯王では引き続きVJのフラゲが続いた。袋とじだったのはこの1回きりで、なぜこの時だけそんな措置が取られたのか誰も知らない。
過日のルール改訂事件の際も発売1週間以上前に雑誌がフラゲされ、それによってルール改訂がリークされており、「発売日前の情報はたとえ見たとしても知らん顔をするのが業界のルール」と社長(当時)が言っていたカードショップのシングル価格も、フラゲ情報に柔軟に対応していた。

MtGでは翌2011年、Guillaume MatignonGuillaume Wafo-TapaらによるGod Book事件が発生。Rancored Elf事件以来、最悪の情報流出となった。
その後もコジレック流出事件などに見舞われている。

VGでは2013年、流通前の商品が盗難されリサイクルショップの店頭に並んだ。
それ以外にもテストプレイヤーからの情報流出などが起こっている。

ポケモンカードもさして状況は変わらない。遊戯王同様、海外でのフラゲによる情報リークが増えた程度だ。

問題意識は高まったものの、総じて出口が見えない状況にあると言える。


■そして、DMは…
2015年の春先、イベントでたまたまメーカの社員に会う機会があった。当時はメーカが積極的にCSを回っていた時期だったから、会って話したという人は多いだろう。

そこで、自分はコロコロフラゲの話題を出した。先方も一部まとめサイトがコロコロフラゲ情報をまとめているという認識は持っており、説明の必要はなかった。

のだが、参ったのはこの後である。コロコロに新弾のフルスポイラーが載らなくなってしまったのだ。
平時はどうでもいいのだが、エリア戦の直前に始まったからたまらない。自分の発言の影響ではないと思いつつも、迂闊に問題提起するとどのように解決されるかわかったものではないなと実感した。

この時は本当に参ったので、しばらくはフラゲ自体がなくならんかと模索した。が、当然そんな方法があるわけもなく。やがて自分はフラゲの是非を問うこと自体に興味を失った。

今振り返って思うのだが、別に公式はフラゲのことなんて何とも思ってないんじゃないだろうか。そもそも子供向けのDMにおいてフラゲ対策のコスパは悪いだろう。

自分がここで言いたいのは、「公式のスタンスがおかしいんじゃないか」なんてことではない。そうではなく、「権利者がどうでもいいと思ってるんだったら、どうでもいいんじゃない?」ということだ。
エリア戦前は新弾のリストが公式HPで公開されるようになったし、自分の困りごととしては解決しているからこそこう思うのかもしれないが…。