(´・ω・`) プライムで見ました




 


■あらすじ
地方検事のハービー・デントは、警察内部に汚職警官が山のようにいると疑っていた。 しかしゴードン警部は「それでも犯罪者を捕まえねば」として、犯罪撲滅を優先する。

デントは自信を囮にすることでヴィラン・ジョーカーを誘導し、逮捕に成功。しかし直後、警察の内通者によってデントと恋人のレイチェルが拉致されてしまう。
バットマンはジョーカーを痛めつけて2人の監禁場所を聞き出し、レイチェルの救出に向かう。しかし、そこにいたのはデントだった。ジョーカーは嘘を吐いていたのだ。

バットマンが駆けつけた直後、監禁場所は爆発炎上。レイチェルは死亡し、デントも顔の左半分に大怪我を負う。
汚職警官の処理を後回しにしたゴードンが許せなかったデントは、自分とレイチェルを拉致した警官を襲撃。さらにゴードンとその家族を拉致する。

一方、ジョーカーは留置所から逃亡。囚人と一般市民が乗った2隻のフェリーに爆弾を仕掛け、互いに互いの船を爆破できるスイッチを渡す。どちらかが12時までに相手の船を爆破しなければ、両方の船が爆発するのだ。

ゴッサムの危機に、バットマンが立ち向かう。


■ジョーカーというヴィラン
前作のED後に存在が示唆されたヴィラン、ジョーカー。今作で登場した彼に思想はなく、来歴も不明。
ひたすら無軌道に犯罪を繰り返すだけだが、それでいて見る側を引き込む演技がすごい。ヒース・レジャー…。

キャラクターとしての目的は、最後の最後に明確にされる。
終盤、2隻のフェリーに乗った犯罪者と市民は、互いに互いの爆破を避ける。最初は犯罪者の命などどうでもいいと言っていた市民達も、爆破のスイッチは押せない。
時間が残りわずかとなった時、市民達はスイッチを持つクルーに向かって押せと叫ぶ。そのクルーのセリフが印象的だ。

「俺たちはまだ生きてる…向こうは押してないってことだ」

一方のフェリーでも、受刑者がスイッチを持つ警官に言う。

「それを寄越せ…10分前にすべきだったことを俺がしてやる」

にらみ合いの末、スイッチを渡す警官。受刑者はそれを窓から海に投げ捨てると席に戻り、祈りを捧げるように目を瞑る。誰も不平は言わない。

12時を過ぎても、どちらのフェリーも爆発しなかった。押さないことを彼らは選択したのだ。それを見て、バットマンはジョーカーに向かって叫ぶ。

「誰もがお前のような醜い本性を持っているわけじゃない…お前は他人も自分と同じだと証明したかったんだろうが、無駄だ!」

汚職警官、マフィア…街の暗部を散々見せつけられた後のこのシーンは、本作を象徴している。ゴッサムは、ソドムとゴモラではなかった。正しい人間はいたのだ。


■トゥーフェイス
しかし、市民達が惨劇を回避する一方で、デントはヴィラン・トゥーフェイスに成り果てていた。ジョーカーを捕まえてから現場に駆けつけたバットマンは、心身共に変わり果てたトゥーフェイスと相対する。

トゥーフェイスに、もはやデントの面影はなかった。ゴードンの息子を殺そうとする彼にバットマンは組みつき、そのまま地面まで落下。トゥーフェイスは死亡する。

バットマンは、デント=トゥーフェイスの真実を明かすことを拒み、自身がデント殺害犯となることを告げて去る。

デントの死は、ルールの限界を示唆していると俺は思う。悪と戦うために必要なのは意思であり、法ではない。
今作で、ブルースはデントを支持し、彼をヒーローとして擁立することで自身の引退を企図していた。ここでバットマンが真実を隠したのは、当初の方針を堅持するためだったのだろう。

しかし、それは嘘だ。死したデントに物語冒頭のような意思はない。事実を偽装したところで、解決には至らない。そこに、悪に立ち向かう意思はないのだから。
復讐に走り、次々と他人を殺害したデントは、ジョーカーと同じ犯罪者に過ぎないのだ。


■まとめ
今作で、前作から引き続いて課題となった「街に正しい人間はいるか」は解決された。
しかし一方で、新たに「悪を根絶させられるか」と言う課題が残った。

悪と戦うべき警官は汚職に走り、光の騎士デントはトゥーフェイスに堕ちた。どんな仕組みを作っても、人の意思は止められない。

であるならば、真の解決とは一人一人が悪と戦い、撲滅する意思を持つことではないか。そのために必要なものは何か。

と言うところで次回に続く。





 
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