(´・ω・`)真実はいつもひとつ!


 
史上最速で殿堂入りした暴龍警報。このカードの規制理由を語るには、時をさかのぼらねばなりません。

2012年4月30日。あの日から話は始まります。

当初、MtGの日本代理店はHJでした。それがタカラトミーに変わったのは2006年のこと。そして、2012年、ついにWotCは自らMtGの販売に乗り出し、タカラトミーとの代理店契約は打ち切られたのです。
これまで「デュエルマスターズは子供向け商品」との立場を貫いてきたタカラトミーは一転、立場を変えざるを得なくなります。これまでは「ハイエイジはMtGへ!DMはポータル!」と述べていれば終わりでしたが、最早そうは行きません。

この契約打ち切りはかなり唐突なものでした。

この発表より前から、小売り界隈では既に異変が察知されていました。商品案内が、来ないのです。M12の仕入れ案内が来ない。
そして、どこからともなく「ブースターの価格が350円になる」 との情報が流れだします。

「代理店契約が終わる」 。間もなく、この噂は真実になりました。パックの価格は350円になったのです。
当時、ショップにはあまり詳しい情報が回っておらず、契約打ち切り発表の際は騒ぎになったことをよく覚えています。
 
そして、タカラトミーはハイエイジ向けTCGを失いました。

初めての状況の中、ひとまず会場を増やしてみるという試みをしつつ終わっていったE2シリーズ。しかし、状況は予断を許さないものになっていました。
子供向けを謳い、徹底してカジュアルユーザを優遇するブシロード社のヴァンガード。公式大会では突然の追加ルール施行まで行われました。
そこまでしたヴァンガードの売り上げが思わしくない。さりとて、モンコレに移っているわけでもない。
この事実は重いものでした。子供向け、カジュアル向けに偏れば、ハイエイジが流出する。きっちりと他の商品に誘導しなければならない。
しかし、ハイエイジ向けTCGはない。

タカラトミーの暗中模索が始まります。2013年のE3公式大会では時間を無制限に変更。しかし、成果が上がるわけではありません。
明けた2014年3月、 タカラトミーは決断します。現場に聞くしかない。
その3月からおよそ1年以上にわたる、社員によるCS行脚の始まりです。恐ろしく手づまりだったと見えます。無理もないかもしれません。

池の人が危惧していたように、子供向けTCGはやや苦戦していました。裏返せば、ハイエイジが増加していたということ。我々の感覚は、おそらくメーカサイドに理解しがたいものとして映ったでしょう。
そうして行脚を続ける一方で、タカラトミーはブシロードの轍を踏むまいと保険をかけます。そう、ウィクロスです。

過日述べたように、ブシロード…木谷社長の失敗はすべからく一点賭けにあります。ならば、デュエルマスターズのほかにも商品を持とうとするのは自明。2014年度初頭に発売されたウィクロスは、メーカの予想をはるかに超える売れ行きを示しました。
そしてそれが一過性のものではなく、本物の熱狂だと示された夏。事ここに至り、タカラトミーはハイエイジ向けに動かねばならぬとの結論に至ったはずです。 

それが、悲劇を呼ぶことになりました。

そもそも今回の殿堂、 明らかにおかしいのです。
WotCにはデッドマン氏が入社したうえ、川崎氏も公式サイトに連載を持つほどの密なコミュニケーションをとっていたはず。加えて、2014年11月にはシアトルで開発の指揮を執っていた”宇宙忍者”こと射場本氏が来日し、日本支社に配属されました。
ここまでの、ここまでの徹底した布陣を敷いてそれでもなおこの殿堂が出るものでしょうか。

否。

と、すれば。今回の殿堂は出したのではなく、出さざるを得なかったという結論が得られます。
そう、暴龍警報の殿堂は望まれないものだったのです。”何者か” の影響によって渦中の侵略を印刷せざるを得ない断崖絶壁まで追い詰められ、せめてこれだけはと必死にデザイナーが抵抗した結果こそ、暴龍警報の殿堂だったのです。

何者か、とは。
何か。

この話をする前に、つい最近まで妖怪ウォッチのあらしが吹き荒れ、バンダイ以外の玩具会社は軒並み「市場環境の急激な変化により~」 というIRを出していた、このことを思い出していただかねばなりません。そして、この急激な変化が収まりつつあることも。

さて、妖怪の煽りを食ったのは誰だったでしょうか。
覚えておいででしょうか、誰あろうバディファイトです。

バディファイトの躍進は目覚ましく、元が元だっただけに何とも言えない雰囲気を残しつつも発売日に小学生が密集して買っていたりと、まさに池の人が目指していた通りの状況が生まれています。ギャンブルに勝ったのは彼でした。
このバディファイト、決着の速さが売り。無論読者の皆様はご存知かと思います。
では、DMの決着ターンは?

重いカードが強いというマナシステムの都合上、キルターンを速めるためにはブーストカードが必要です。それはDS期、事態を見て取ったデザイナーたちによって各色チャージャーの再臨という形で結実しています。

が、ダメ。

なお、遅い。

そう思ったところがあったとしたら、どうでしょうか。バディファイトとデュエルマスターズの2つに同時にかかわっているのはもちろん、他の玩具にも長けているチームがそう思ったとしたら。
例えば、小学館がそう思ったとしたら?

ウィクロスの躍進によってハイエイジ向けの可能性を確信したメーカ。
子供たちの可処分時間の短さを憂い、決着の素早さと水際からの逆転を要求する媒体。
辿り着く先は即ち2015年度商品のデザイン変更であり、まるで想定していないものに出会ってしまった暴龍警報は滅びざるを得なかったのです。商品の方向が決定される時期を考えると、生まれた時点ですでに死んでいた…死産と言っても差支えないほどでしょう。

メーカがハイエイジ向け大規模大会の開催を決定したことを考えると、他の殿堂も芋づる式に理解可能です。
延長で得たエクストラターンで延々時間を使うループはダメ。
試合を泥沼化し、徒に長引かせるマナ基盤の破壊もダメ。

妖怪の脅威がひと段落しつつある今、メーカに退路はありません。
かつてKONAMIに向けて「決算期のパックは強い」と揶揄する声もありましたが、対岸の火事と言って笑っている場合ではないかもしれませんね。
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