去年の・・4/20かな?
結構前の話ですけれども。
1.情報の流出

流出というものはどんな製品にでも存在している話です。昨今の遊戯王新弾なんか、中国の方から流出情報が回ってきてますよね。

MtGでは、フォールン・エンパイアのころまではかなり流出が多かったようです。このころやそれ以前のアンカットシート(裁断前のシート状につながったカード)は割りと手に入りやすいとか何とか。工場流出ものなんで、本当はそんなたくさんあっちゃいけないんですけどね。

当然ながらこの状況がいつまでも続くわけもなく、ウィザーズは以前、リーク情報まとめサイトの管理人を法廷へ引っ張り出したことがあります。Rancored Elf事件として知られているこの訴訟は、MTG Salvation(サルベ)っつー情報サイトの管理人に対して行われました。
ここの管理人はどこからかリーク情報を入手して、それをサルベに載せていた!営業妨害だ(あってるかな)!というのが大まかなウィザーズの言い分で、実際これが認められたみたいですね。未発売のセット内容は企業秘密に当たるんでしょうか。
またこの管理人への訴訟に伴って何人かのプロプレイヤーが出場停止処分を受けていることから、彼らがリーク元だったのではないかと見る向きもあります。

この事件は2006年、時のらせんのころの話でして、それからは特に目立った流出もなく平和な世界が続いていました。そして、前夜ともに調整した二人が世界選手権の決勝で激突するという漫画のような展開を経て2010年は暮れ、やってきた2011年。MtGの競技性を脅かし、多くのMtGプレイヤーを失望させた事件が発覚しました。


2.フルスポイラー

僕がこれを知ったのはいつだったか忘れてしまいました。サルベに日本語版の工場流出があがっていて、それを見て知ったんですよね。当時はファイレクシア・マナのせいで「これはガセじゃね?」といわれていたのを覚えています。ぱっと見、色覚障害の方に配慮されてないデザインじゃないか!っつーわけで疑われたわけです。
記憶が怪しいので、公式の資料を頼りながら書いていこうと思います。

事件が起こったのは4月20日。
この日、IRCチャットを利用していたCFBのCaleb Durward氏は、”B-boy”というハンドルの発言に目を留めます。(ログは氏の記事より

[07:29] <%B-boy> shut up noob
[07:29] <%B-boy> you haven’t the entire spoiler list

まだスポイラーリストは出てないだろ、という別の人物の発言に対してのB-boyの返答。「おいおい、スポイラーリスト持ってないの?」ってな感じです。
この時点では、Caleb氏は特にこの発言を気にしませんでした。画像がないのに騒いでも仕方ない・・海の向こうでも考えることは一緒ですね。まさか公開領域で流出情報をさらすやつがいるなんて考えませんし、普通。

しかし数時間後、B-boyはeEnderとの会話の中で重大な情報を漏らします。

[09:32] <%B-boy> I haven’t any link
[09:32] <%B-boy> it’s on my computer
[09:33] <@eEnder> why is it on your computer
[09:33] <@eEnder> are you a hacker
[09:34] <%B-boy> no
[09:34] <%B-boy> i’m a pro
[09:34] <%B-boy> and i live in nantes
[09:34] <%B-boy> we started playtesting yesterday
[09:35] <@eEnder> so?
[09:35] <@eEnder> i asked why you have the entire spoiler
[09:36] <%B-boy> i’m a writter
[09:36] <%B-boy> for “lotus noir”
[09:37] <%B-boy> a french mag
[09:37] <%B-boy> and we start a website
[09:37] <%B-boy> WatchDaMatch
[09:38] <@eEnder> and dont you have a policy against spoilers?

自分はリンクを持っている、そして昨日からプレイテストを始めた。B-boyはそう述べています。そして、それは雑誌に新セットの講評を載せるために公式に入手したものだとも。

Caleb氏は、B-boyと、このチャットのほかの画像に載っていたJulien Hadjadj氏に連絡を取ろうと試みました。
Julien氏からは知らないとの返答。
そうこうしている間に、B-boyは更なる情報を暴露し始めます。

[10:53] <~jfc> how did you get it? :\
[10:53] <%B-boy> wafo
[10:53] <%B-boy> obv

Wafo-Tapa氏が情報源であると示すB-boy。Wafo氏は世界選手権2010で準優勝を果たしたプレイヤーです。そんなことがありえるのでしょうか?
Caleb氏は、B-boyがただのアマチュアだと推測しました。

11:23] <%B-boy> we don’t want to diffuse it to any forum
[11:24] <~jfc> i just wanna show my friend.
[11:24] <%B-boy> if it’s private
[11:24] <%B-boy> it’s ok
[11:24] <~jfc> yeah
[11:24] <~jfc> its private
[11:24] <%B-boy> idk if i can trust you
[11:24] <%B-boy> :p

「見せてほしい」というCaleb氏。プライベートなら・・というB-boy。
そしてこの数時間後、フルスポイラーリストの画像が投稿されました。
B-boyはこれを見て混乱していたようで、誰が投稿したのかはわかりません。不用意に他人にリストを見せた結果、こうなったと思われます。


3.事件の収束
数日後、Caleb氏はB-boyとコンタクトを取ることに成功しました。
彼の本名はDavid Gauthier。フランス人のプロプレイヤーでした。

彼がWafo-Tapa氏と友人だったのは本当でした。雑誌のライターであり、God Bookと呼ばれるフルスポイラーリストを仕事の関係で所持していたGuillaume Matignon氏(世界選手権2010の優勝者です!)がGod BookをWafo氏に流し、そこからさらに調整チーム内に広まったというのが真相だったようです。
当然ながらGod Bookは企業秘密に当たります。他人に渡すなんてもってのほか。

Guillaume Wafo-Tapa、Martial Moreau、David Gauther(別名B-boy)は2012年10月までの出場停止処分、そしてGuillaume Matignonは3年間の出場停止処分を受けました。

この事件はMtGの競技性を大きく揺さぶりました。
考えてみてください、一部のトッププロは一般プレイヤーより先に情報を知っていて、かつ調整チームにリークしていたと証明されたわけです。無論すべてのプロがそうだったわけではないでしょうが。
昔はこの手合いの潜在的な問題を解決するため、新セット発売後1ヶ月は公式大会で使えませんでした。この事件後も、結局このルールは戻らぬままです。・・まあ、いいか悪いかはなんとも言えんですけどね。プレイしてない外野から言ってもあれですし。

無論ウィザーズもこの事態を放置しているわけではなく、ポリシーを改定してこれらに対処しています。


4.その後

さて、注意深く読まれていた方は首を傾げたかもしれません。僕がこの状況に気づいたきっかけである”日本語版の工場流出”にここまでまったく触れていないので。

Wafo氏らが持っていたのはただのデータで、紙製のカードではありませんでした。
サルベにあがった紙製の日版マジックは、おそらく印刷所からの流出でしょう。したがって、Wafo氏らは日版の件には関与していないことになります。

結局この部分に関してはウィザーズから公式に発表がないので、犯人が捕まったのかどうかはいまひとつよくわかりません。


全然関係ないですけど、そういえばこないだ、デュエルマスターズのDMR-04のビクトリーレア、勝利のリュウセイ・カイザーの画像がGREEから流れてきてましたね。雑誌のスキャンじゃなくて紙製のやつ。
どっから流れたんでしょうね、あのカード。画像ではシングルショップに売ってたみたいですから、印刷所からの流出でしょうか。
日本語版ばかり流出するなんて、珍しい偶然もあるもんですね。
だから何ってわけじゃないんですけど、なんとなく思い出したので。

んではまたいずれ。

*参考
「新たなるファイレクシア」の流出問題について
法と秩序